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執筆者の写真渡邊 優

昨日は久しぶりに、上野の東京都美術館に行ってきました。

その美術館でちょっとした事件があったんです。


私が、さあ、芸術鑑賞するぞ!と気合を入れてワイヤレスイヤホンを装着し、ノイズキャンセラーのスイッチを入れて無音の世界で絵を鑑賞していました。それから小一時間経った頃、突然隣の男性から肩を叩かれたんです。その男性は「イヤホン外せ!」とジェスチャーしていました。

私がイヤホンを外して何ですか?小さな声で尋ねると「音漏れしていないか?」と聞いてきたのです。

私は・・・「ありえないだろ、ノイズキャンセリングして無音なのに・・・」と思ったのですが、その男性から「イヤホンから音が聞こえないから違った」と言われました。


おいおいちょっと待て!違ったじゃないだろ、謝るのが先だろ!と思い、非常〜〜〜〜に不愉快な気分になったのです。


そんな不愉快な気分の時に、一つの絵が目に止まりました。

その絵がこちらです。


《フェルメール 窓辺で手紙を読む女》

この絵を見た時に、芸術の力ってすごいなって思いました。

今まで確かにあった、不快感や腹立たしさ、苛立ち、色んな黒パターンの感情が一気に吹っ飛んだのです。もうどうでもいいやそんなこと、と思えるくらに、一気に白パターンの感覚に引っ張られたのです。


静けさに満ちたこの絵からは、暖かさや穏やかさ、優しさ、そんな何とも言えない気持ちよさを、この絵全体から受け取りました。


そしてこの絵を観ながらさっきのは何だったんだろうと考えた時、パターンとしては、間違いは謝るべき、というのがあり、謝られていないことを、負けた、舐められた、と思ったのです。

そして、

◯もう負けた、舐められたと決めつけるのはやめよう

と思った時はすでに、この絵が持つ白パターンの世界に在ったので、楽に選べていました。


この絵はホントに気持ちがよくて、気持ちよすぎて何回も行ったりきたりして、正味30分くらいこの絵の周りをうろうろしていました。


それほどこの一枚の絵から受け取った、黒パターンから白パターンへの大転換は衝撃的すぎたのです。


ぜひ本物を皆んなにも観てもらいたい。

そんな風に思った絵は初めてです。



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